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「カメラ?カメラ!カメラ?!―計算をはじめた未来のカメラたち 」 を読みました

著者はNIIの研究者の児玉さんとサイエンス関係の本の編集者の財部で国立情報学研究所が監修しています。
一見タイトルや装丁が初心者向きに見えますが、内容は本格的にカメラの原理からBokeh(いわゆるレンズによりピンボケ)の仕組みについて原理から詳しく説明していて、専門家が読んでも十分に楽しめます。
私はこの本を読んで、ピンホールカメラからスタートしレンズでなぜピンボケが起きるのかが整理できました。
最も面白いところは、筆者らの研究による、撮影現場に戻れるカメラとは何を目指し、いま最先端の研究でどこまで到達できているのかを明確に説明している部分です。
イメージセンサーの技術進歩だけでなく計算機の進歩を合わせると、写真は単なるピクセルの集まりではなく多くの情報を含んでいることが分かります。
ライトフィールドカメラという光線情報を記録できるカメラが最近発売されていますが、このカメラはレンズアレーの大きさや数の問題から画素に入る光がどうしてもすくなくなるとか、解像度の問題とかまだ実用には問題があるのですが、連続してボケを変化させた3次元ボケを使うと多数の位置が異なるピンホールカメラの画像に分解でき、これはまさにライトフィールドカメラで撮影したのと同じことですので、後でピントの位置を変更したり、視点を変えたりできます。
さらに、光源のライトフィールドまで取得すれば、撮影現場の光源条件を変えた画像までも作れるという、撮影現場に影響を与えるカメラまでできてしまうという
夢のような未来を描き出しています。
しかもその未来が遠い未来でなく、目に見える現実に起こる未来のカメラとしての可能性を著者は示してくれています。
この本は、著者の児玉さんのこれまでの研究の集大成をまとめたものであると同時に、この分野の研究の未来を垣間見せてくれるもので、画像処理にかかわる方には強くお勧めします。