「妻を帽子とまちがえた男」 オリヴァー サックス (著) を読みました

ずいぶん前に職場の読書好きの方にいただいた本です。
最近はStay homeで家にいる時間が長くなり、本を読む時間も増えてとても楽しいのですが、乱読して読書記録を付けることはあまりないのですが、本書はとても印象に残ったので簡単にメモしておきます。
著者のオリヴァー サックスと言えば、映画「レナードの朝」の原作者として有名ですが、本職は臨床医であり研究者です。その臨床研究をもとに、脳の障害や疾患の結果生じるとても驚くべき脳の動作を著書にしています。

本書も実際にサックスが診断した患者さんの一般には奇妙だと思われる行動の背後にある脳の素晴らしい能力は可能性を、24の症例を示しながらわかりやすく説明しています。
400ページを超える分厚い本ですが、24個の基本的に独立した話に分かれていますので思ったよりも読みやすく、少しずつ読み進むことができます。
私は面白さに完全にはまってしまい、一気に読んでしまいました。

 素因数分解って難しく計算機を使っても簡単な問題ではないですが、数値が画像やイメージの塊のように見えて(実際にそう見えているかどうかは誰にもわからないのですが)、その大きな数が素数かどうか”直感的に”わかる人がいたり、素因数分解が頭の中に勝手に湧いてくるような人がいるそうです。
世界や自然をありのままに見続ける能力を持っている人がいる、それは世界を抽象化し一般化しようとする多くの人とは対極にあるかもしれませんが、絵を描くことや音楽、そして数の世界では抽象化した見方からは信じられないような具体的な生き生きとした世界を紡ぎだしてくれるようです。
AIやディープラーニングというのは抽象化や統合化というものは苦手だけど、いったん具体的なデータが与えられれはその重みを最適化することで具体的な世界を描き出すことができる。
人工知能やその一つの技術であるディープラーニングが、本書に出てくる特殊な能力を持つ患者たち共通する部分があると感じて、非常に興味深かったです。
人工知能に興味のある人やその分野で研究・開発している人にはお勧めのです。