「驚異の量子コンピュータ」 藤井啓祐著を読みました

私が初めて量子コンピュータという言葉を聞いたのは多分2000年代の初めのころだと思います。
それ以前にも、ファインマン量子計算機というアイデアを提唱していたという話は聞いたことがあったのですが、実際に計算のアルゴリズムや計算の仕組みについては知りませんでした。
量子力学の原理を利用すれば当然、可能な状態を同時に持つことができユニタリなオブザーバブルに対して観測したい基底で内積をとることで確率振幅から実際の物理量を得ることができますが、その原理を利用して計算を行おうというアイデアです。
理論的には想像できても実際に量子状態をコヒーレントな状態に保ったまま、計算行為を進めるにはどうしたらよいのか、ちょっと考えただけでも非常に難しいと想像できます。
本書では、量子力学の原理を使用するとなぜ計算が高速にできるか?なぜ、量子コンピュータを現実に作るのは難しいのか?という話から、量子コンピュータの黎明期からいくつかの困難に対するブレークスルーを経て、現在の量子コンピュータの到達点までを数式をほとんど使わずにわかりやすく説明しています。
量子エンタングルメントのあたりはさすがに概念そのものが難しのでなかなか理解しがたいのですが、それでもそれがどのようなものなのかをおぼろげながら知ることはできると思います。
この辺りは実は数式を使って説明したほうが簡単で分かりやすくはなると思いますが、数式というだけで敬遠する人もいるので難しいところです。
最後の10章は読んでいてわくわくするような量子コンピュータが活躍する未来の話です。
物質を分子、原子レベルで最適化できればどれほどすごいことができるのか想像するだけで無限の可能性の広がりが見えます。
また、量子重力、ブラックホール、はたまた宇宙の始まりといった自然そのものを計算で理解しようという試みを考えると、未来が楽しみになります。