しんさんのブログ

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「人間の建設」 小林秀雄、岡潔 著 を読みました

独立数学者として数々の逸話のある岡潔と批評家で文学者の小林秀雄との対談。
ずっと前から読みたいと思っていたのですが、年末年始のお休みに手に取りました。
2人の知の巨人の対談に圧倒され、使われている言葉が古いという以外は全く現代にも通用するような内容で驚きました。
あとがきで茂木健一郎さんが書いてあるように、何度も何度も読めば読むほど味が出るようなするめのような対談です。
圧倒的な知識人・教養人である二人の対話なので理解できないことや何を言わんとしているのかが理解できないところは多々あります。
しかしそのわからなさが何か心地よく、そして示唆に満ちている一語一語が後からじわじわと心に響いてきます。
理ではなく情である、それは理詰めで論理に基づく究極の学問である数学においても重要であるしその根底の創造という作業においては文学と共通すると。
物理のように数学から素材を借りて組み立てるような学問よりはより情を必要とするという岡潔の主張は、確かにそうかもしれないと感じました。

また来年の年末にも読んでみたいです。
その時、本書から自分がどんな発見をしているのか楽しみです。