しんさんのブログ

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「スパコン富岳の挑戦 GAFAなき日本の戦い方」松岡 聡/著 を読みました

普段、コンピュータやそのアプリに携わる者としてスパコンの開発背景には非常に興味があり本書を手に取りました。
高い性能と使いやすく応用範囲の広いまさに富士山のようなスパコンというのを売りにする富岳がどのような経緯で誕生したのかを、富岳以前のスパコンである地球シミュレーターや京からの流れで解説されています。

松岡さん自身が幼少期にどのようにしてコンピュータにのめりこみそして今に至るかも非常に興味深いです。
80年代にいわゆるマイコン少年としてゲーム作りに励んだりパソコンのプログラミングにはまったあの時代が今のGAFAの基礎を作っていると言っても言い過ぎではないです。
私もI/Oなどの分厚い本を持って、街の電気屋さんで朝から晩まで展示してあるパソコンを触っていました。

さて、では現代の技術好き少年・少女たちはどこでそういう経験をしているのでしょうか。
それはリアルな世界でなく、インターネットの世界です。リアルな世界では制限が厳しくなりましたが、ネットの世界の中で自由に最先端の情報技術に触れてそこで互いに楽しみながら新しいものを作り出していく今のZ世代が作り出すGAFAソニーに変わる新しい産業が楽しみですね。

おっと、脱線してしまいましたが、著者の松岡さんは任天堂の岩田さんたちとファミコンのゲームを作ったりしていたそうですがある時、君は大学に残るほうがいいと言われ大学に残って研究者になったそうです。
コンピュータの世界はドックイヤーと呼ばれるほど変化が激しく松岡さんもその流れの中で次々と新たなスパコンを考案していったそうです。
初めは個人レベル、研究室レベル、そして東工大の共通スパコンとステップアップしてついに日本最高峰、そして世界1のスパコンを作り上げるまでの話が本書で述べられています。
例えば、大学の研究室で手作りでスパコンを組み立てた際には、秋葉原まで部品を買いに行き徹夜作業でそれを組み上げるという経験を積んだそうです。
そういう経験すべてが富岳の構築に生きているということが本書から伝わってきました。
コンピュータ好きの少年がずっとコンピュータを作り続けていたら富岳にたどり着いたという物語です。

富岳の次はどうなるのか、GAFAなき日本はどうすればいいのか未来への提言も興味深かったです。

コンピュータ好きの人におすすめです。