しんさんのブログ

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「半導体産業のすべて 世界の先端企業から日本メーカーの展望まで」 菊地 正典/著 を読みました

昨日までの3連休の読書として以前からタイトルが気になっていた本を読みました。

最近はニュースでも半導体という言葉を聞かない日はないです。
半導体が戦略物資であり、先端半導体技術を握ることが世界を支配できる力になると言われています。
日本も将来の最先端半導体製造技術を得るべく、今までの遅れを取り戻すべくようやく最近政府も動き始めました。
2nm半導体の量産が見えて来たとかEUV技術がと言いますが、いったいそれは何を意味するのか?
半導体を使った素子はどのように作成するのか、そこにはどのような技術が必要なのか、日々OS越しにPCを触っているだけではブラックボックスになっている部分を本書は概観することができます。

しかも製造の各段階で具体的にどのような企業の製品だったり技術が必要でそれが何を意味しているのかを詳しく知ることが出来ます。
例えば装置メーカーとしての東京エレクトロンがどういう製造装置を扱っていて、売り上げ規模はどの程度でライバルにはどのような会社があるのかが分かります。

日本は半導体製造そのものは世界でかなり遅れをとってしまっていますが、製造装置や素材関連では検討していると言われています。
本書でもそれについて言及があり、絶対値としてはこの10年右肩上がりに伸びていますが世界シェアで見ると2012年をピークに下がり続けていると書かれていて将来的に製造装置や素材でも決して万全ではなくこのままでは危ういのではないかと冷静に分析されています。

最終章では専門家として著者が日本の半導体戦略に対して危機感とともに有意義な提案もなされていました。
半導体は総合力がものをいう業界です、日本の得意なニッチな職人技ではなく交渉力や迅速かつ大胆な決断と未来を見据える力とリスクをとれる強力なリーダーシップがが必要とされています。
果たして日本は半導体で再び世界に浮上することができるでしょうか、今後が楽しみです。