しんさんのブログ

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「妄想する頭思考する手 想像を超えるアイデアのつくり方」 暦本純一著を読みました。

イノベーションとはどのように生まれるのかそれが知りたくて読みました。

著者は"何か新しいことを考えなければいけない","どうすれば新しいアイデアが思い浮かぶのだろうか"というイノベーションをめぐる雰囲気に強い違和感を抱いて本書を書いたそうです。
企業の研究開発の現場では、極端な成果主義や結果重視のため上記のような雰囲気から却って閉塞感が漂っているようにも感じます。
人間という生き物は本来は、新しいものや未知のものを好む特性を持っているはずだです。
著者は、そういう人の持つ特性をうまく引き出すために普段考えていたり実行していることをとを本書で披露しています。

特にわかりやすかったのは、アイデアの天使度、悪魔度という指標です。
悪魔度とは技術の高さのことで、天使度とは発想の大胆さのことをわかりやすい言葉で表しているそうです。
この二つがそろう所が最も破壊力のあるイノベーションとなる場所でだそうです。

しかし、それは選択と集中のように狙って成し遂げられるものではなく、最初はなんなのかよく理解できない、聞いたとききょとんとするようなアイデアを実装し使っていく中で洗練されていくものだと著者は述べています。

イデアが思いついたらまずは言語化し、そして粗削りでも実装して使いながら改良していくことが良いようです。

そして日本人の大好きなブレストはイノベーションにとっては何の意味もないのでやめた方がいいと強く主張しているのは、私も賛成です。
数々のブレストと呼ばれる会議にでたことがあるがそこから素晴らしいイノベーションは生まれたためしがないですし、角の取れた丸いアイデアしか出てこないという著者の意見に同意します。
では、どうすればよいか、そのための一つの提案も本書に書かれています。

研究開発に携わる人にお勧めです

妄想し思考し、そしてとにかくいろいろ実装して試行錯誤しながら思いがけないアイデアに結び付けていくという著者の研究開発のプロセスを知ることのできる良書です。